先日、ある男性が相談があると言うことで、我が家に来られました。
相談自体はすぐに終わったのですが、私が工場長時代の話を聞かせてほしいと言うことで、いろんな体験談や失敗談をお話したところ、真剣に聞いてくださり、1時間以上も安全・無事故について語ってしまいました。
その大まかな内容は、他の工場などで起こった事故を他山の石とはせずに自分の工場の危険性にも神経を張り巡らせると言うものです。
実は、そういった考えは自身の経験に基づくものと、「失敗学」で有名な畑村洋太郎氏から学んだものです。
実際に私が、工場長をやめて議員に出馬するときに、次の工場長に「読んでおいたほうがいいよ」と言って渡したのが、畑村洋太郎著の「失敗学実践講義-だから失敗は繰り返される-」でした。
その畑村洋太郎氏ですが、福島第一原発の事故原因を調査するための、検証委員会の委員長に起用されるというニュースが本日流れました。
「失敗学」の権威が、今回の原発事故をどのように検証されるのか、非常に興味深いところです。
ネットで調べてみると、産経の記事で畑村洋太郎氏の「原発事故考」がありましたので読んでみました。その中で、なるほどと感じた点として、以下の5点がありました。
・東電が言う「想定外」は、自分たちには落ち度がないという言い訳でしかない。
・災害の対策を立てるときは守る側で考えるのではなく、攻める側に立って考えなくてはならない。どこをどう攻撃したら福島第1原発の機能を奪えるのか。自分が地震や津波、山火事になって考えなくてはならない。そうするとすきだらけなのがよく分かってくる。
・人間は想定だけでは生きられない。現実を見て判断することが大切だ。
・今回の原発事故は起こるべくして起きた組織災害
・人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ。
昨日、あるテレビ番組で今後のエネルギー政策を考えるとして、原発推進派のコメンテーターと反対派の方達が意見をぶつけ合う場面がありましたが、確かに番組の構成としては面白かったかもしれませんが、そこから将来のエネルギー政策に対する示唆は何も見出せない終わり方で、期待はずれな内容でした。
そんな中、畑村洋太郎氏の、「今回の原発事故が起きた原因を徹底究明し、それを克服した上で原発を使っていくべき」という考え方は、ある意味とても現実的な考え方だと思います。
確かに将来的にはクリーンエネルギーへの転換を図っていくべきですが、それまでの電力需要をまかなうためにはやはり今ある原発を使用する以外になく、そのためにこそ安全・安心・無事故について徹底的に検証していくべきだと思います。
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