2011年6月1日水曜日

スマートグリッド(次世代送電網)に脚光が

政府は、新成長戦略実現会議の下に「エネルギー環境会議」を設置し、官邸主導で電力事業の改革案を練るらしい。
今月上旬から協議を開始し、年内にも基本方針をまとめる方針。
菅首相がG8首脳会議で20年代の早期に自然エネルギーの発電比率を20%に拡大する方針を表明したことによるもの。
電力供給については、大型発電所から地域全体に電力を送る「集権型」の体制を見直し、風力や太陽光などの中小規模の発電で地域の需要を賄う「分散型」や、IT技術を活用した次世代送電網「スマートグリッド」に対応した仕組みを導入する予定。



そもそもスマートグリッドとは、オバマ政権が米国のグリーン・ニューディール政策の柱として打ち出したことから、一躍注目を浴びることとなったもので、送電の拠点を分散し、需要側と供給側との双方から電力のやりとりができる、「賢い」送電網のこと。
日本では、麻生政権時に太陽光発電の導入量を2020年に05年比20倍に拡大すると目標設定し、その他風力発電など再生可能エネルギーの積極利用への動きが始まった。
しかし太陽光や風力などは、その発電量が天候や気候に左右され非常に不安定なため、需要と供給のバランスを調整するなどの系統安定化策としてスマートグリッドが取り上げられた。

しかし、スマートグリッドの普及に対する最大の抵抗勢力は電力会社であった。
その普及は、地域独占の電力会社が発電と送電を一手に担うという日本の電力システムの根幹を揺るがすことになるからである。
だから、組合組織をバックに持つ民主党政権では、スマートグリッドの普及は無理だろうと考えられていた。
ところが福島第1原発の事故を経て、状況が一変。
社会の主要な情報がICTへの依存度が極めて高くなった今、停電はインフラや財産、命の喪失に直結する。
電力の安定供給は今まで以上に不可欠との認識から、再びスマートグリッドに脚光が集まっている。

スマートグリッドが普及すれば、これまで電力会社が抵抗してきた電力産業の規制緩和にもつながります。
そうなれば、電力料金も3割の値引きの余地があるとの試算も。
さらに電力に引っ張られる形で、公共料金の引き下げが進めば、それが即、内需の活性化となり景気の刺激策につながるのではと期待します。

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