2011年6月3日金曜日

「学校施設再編整備計画」は必要か?


「学校施設再編整備計画」-概要版-が手元に届きました。
この計画については、学校の統廃合を含む話なので、いろんなご意見が挙がっておりますが、
私としては、結論から言いますと、必要だと考えます。

その理由の第一は学校施設の老朽化です。
今回の計画の大きなポイントとして、次の3点があります。
①小中一貫教育の推進
②児童・生徒数の減少による小規模校の解消と、学校の活性化
③校舎の老朽化の改善と耐震性の確保

これまでも何度か述べていますが、鉄筋コンクリートの建物は外観的には全く同じに見えても、建築された時の法律により強度は全く変わってきます。
まず、1950年(S.25)に制定された建築基準法以前に建てられた建物では、その強度は現在と比較して全くダメです。一昨年耐震補強工事が行われた五月丘小学校の校舎がそれで、そこでは節のない鉄筋が使用されていました。
次に、1981年(S.56)に、新耐震設計法が導入されて基準法が大きく改正され、建築物の耐震強度が飛躍的に向上しました。
実は、池田市の小学校の校舎のほとんどは、この1981年以前の建築であり、更には今でも一部1950年制定の建築基準法以前に建てられた部分も存在します。
そうしたところから、各校舎の耐震補強工事が早急に必要となっています。

ところが、この耐震補強工事には莫大な費用がかかります。
当然、市の単費だけでは賄えるわけはなく、国の補助金や市債の発行などが必要となります。
そこまでしてお金をかけて取り組まなくてはならない事業だけに、昨日の監査委員研修における適正な事業コストかどうかではありませんが、慎重に取り組まなければなりません。せっかく多くの予算をかけて校舎を整備したのに、数年後には児童数が減少して必要なくなってしまったなどという無駄なことはできません。
しっかりと、市内児童数の動向・推移をにらみながら、更には小中一貫構想なども取り入れて、今回取り組む「学校施設再編整備計画」が遠い将来まで有効に、池田の教育に資するようにしなくてはなりません。

個人的な感情からすれば、当然地元の学校は存続してほしいわけですが、それに伴う費用対効果も検証する必要があります。
今回、学校の再編整備をした場合、現状のまま耐震補強を行う場合と比べて、合計で7校、18棟の校舎の補強工事が不要となります。
その分、新設になる一貫校の設備の向上や、教育環境の向上に予算を使う方が有効ではないでしょうか。

こうした考えを含めて、保護者・教師・地域の理解を得ることができるかどうかが、今後の課題となってきます。
地域住民の理解なしで進めたり、なしくずし的に進めるようなことがあってはなりませんが、しっかりと話し合いながらでも前に進めないと、計画が遅れれば遅れた分だけ老朽化も進み、子供たちの安心安全が後回しになってしまいます。
今回の大震災のように、想定外の地震もいつ起こるか分かりません。そんな今だからこそ、学校の耐震化を軸とした「学校施設再編整備計画」に前向きに取り組む必要があると、考えます。

0 件のコメント:

コメントを投稿