2011年6月22日水曜日

3・11から変わってきた価値観

東日本大震災と福島第1原子力発電所の事故発生以来、震災関連の書籍や出版物がよく読まれていいるそうです。
そのジャンルは多様で、写真グラフや防災マニュアル本、原発に関する科学的な解説や思想的なアプローチのものも。
こうした中、“心温まる話”を収録したエピソード集が特に注目されているとのことで『PRAY FOR JAPAN―3・11 世界中が祈りはじめた日―』も、その一つです。

この本は、大震災の当夜に現役学生の鶴田浩之さんが立ち上げたウェブサイト「prayforjapan.jp」が基になっています。
震災直後、英語圏の男性がミニブログ「ツイッター」に“日本のために祈る”と投稿した後、世界中から日本へ膨大な励ましの言葉や写真がインターネットを通じて発信。同サイトは、これらを集約したものです。
さらに、日本中から届けられる助け合いや励まし合いのエピソードなども含め、主に電子メディア上で飛び交い蓄積された“心温まる”活字や写真を、一冊にまとめたのがこの本です。

日本を含めた経済の先進国は、経済中心主義の軌道を走ってきました。
しかし、今回の大災害によって、その軌道の一部が破壊されてしまった感はいなめません。人々が、これからもこの軌道を走り続けてよいのか、との疑念を持ち始めていることも事実です。つまり3・11は、これまでの社会の価値観自体をも揺るがすこととなりました。
そうした中で、人間として本来もっている、“他者を思いやる心”や“復興へ向けての強い心”が見直されているのかもしれません。

いまだに避難所生活などでご苦労されている方々には申し訳ないですが、3・11を経験して、全国・全世界がこれまでの他者に勝つことを目的とした経済中心主義の軌道から、お互いに励まし合いながら逆境や変化をも乗り越えていこうとする人間主義の軌道へと方向転換しようとする流れができていることは、とても素晴らしいことだと思います。

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