2012年2月20日月曜日

「高コスト政権」

政府は昨年12月、2012年度予算案を決定しました。東日本大震災の復興予算などを含めて96兆円を超える過去最高の予算規模となっています。
そしてこれについて現在国会で審議中ですが、年度内の成立は厳しく、14年ぶりに暫定予算案が組まれる見込みとのこと。
その要因としては、何といっても「消費増税」問題もありますし、同時に3年連続で、国債発行額が税収を上回るという異常事態が続いているからです。



なぜ、このようなことになってしまったのか。
その最大の原因は、民主党が「高コスト政権」だからです。
民主党がマニフェストで大判振る舞いした政策、この財源は行政の無駄の根絶、埋蔵金の発掘、そして、租税特別措置の見直しの合計16.8兆円でまかなうことになっており、増税は行わないということでした。
しかし結局、捻出できたのはその一割程度であったそうです。

世論調査によると、国民は民主党の政策仕分けショーを見て、経費切り詰めに熱心であるというイメージを持っているようですが、それは誤りです。
予算の「無駄」を省けないで、マニフェストで約束した政策を詰め込もうとすれば、当然「高コスト」になってしまいます。
実際、民主党が政権をとってからの予算額を見てみると、国の一般会計の歳出は、2009年度が101.0兆円、2010年度が95.3兆円、2011年度が107.5兆円となっています。ちなみに自公連立政権下の2004年から08年までの歳出の平均は83.7兆円です。

そして一方では、マニフェストで謳った政策は実現できないという最悪のケースとなっています。
こども手当は公約の半額にとどまり、高速道路の無料化は一部実現したのみで、結局やらないことに。ガソリン税の暫定税率は実質維持することになりました。民主党は同じマニフェストで二酸化炭素を25%削減すると主張していましたが、これはガソリンの値下げと整合しないものでした。その25%削減も福島原発事故で風前の灯となっています。
さらに、民主党が票を増やしたもっとも大きな理由として上げられる年金や福祉問題について、民主党は、消えた年金をなくすためにすべての加入者に年金手帳を配布し、いつでも自分の年金記録を確認できるようにするとか、あるいは、後期高齢者医療制度を廃止するとか、マニフェストで唱えていました。
しかし、年金手帳はコストがかかることが判明し、後期高齢者医療制度はそれなりに考え抜かれた制度で、それを廃止して代替案を考えることが困難なことが明らかとなっています。

これらの状況は明らかな公約違反です。もっとも、民主党が本気になってこれらの問題に取り組んでいたかうかがわしいものです。
例えば、子ども手当のベースとなった児童手当に関しても、当時、公明党は必死になって予算を確保しながらその制度の拡充に努めてきたのですが、そのほとんどに対して民主党は反対してきたのですから。
そう考えると、民主党は国民を欺いたことになります。

本来であれば、これらの財源を捻出できなかったことやマニフェストの政策が実現できなかったことを、国民に対して正直に詫びるのが筋ではないでしょうか。
できもしない経費切り詰めによる財源確保をベースとして、マニフェストを打ち上げたことが全ての原因なのですから。
しかし謝るどころか、こともあろうに、その確保できなかった分を消費増税で賄って、政策遂行しようとしています。
昨年の末から野田政権は、社会保障と税の一体改革と称して、消費税率を、まず2014年に8%に、さらに、翌15年に10%に引き上げることを提起しました。

そして驚くことに、基礎年金の国庫負批分2.6兆円は、将来の消費税の増税のときに返却するという年金交付国債を発行することを決めました。
すなわち、野田内閣は、消費税の増税が実現していないにもかかわらず、消費税織り込み済みの新年度予算を提示したのです。
また、2013年からスタートとなる「子ども子育て新システム」においても、必要経費1兆円のうち7千億円は増税した消費税で賄うとなっています。
更には、先日のブログでも書きましたが、年金改革で月額7万円の最低保障年金を導入すると、消費税率は17.1%にも膨れ上がってしまいます。

本当に国の将来を考えるのなら、まずは、謝るべきは潔く謝って、マニフェストで謳ったばらまきの政策を撤回し、できるだけ将来に禍根を残さないような予算を組むべきではないでしょうか。

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